隗より始めよ

湾岸諸国にいる日本人が嘆くことの一つに「ローカルと知り合いになる機会が極端に少ない」というのがある。

店員などは皆外国人で、街中でローカルと接触することはない。
モールに行けば、大勢のローカルがショッピングを楽しんでいるが、見ず知らずの彼らに声を掛けるわけにもいかないだろう。
職場でも取引相手は実務を担当するエジプト人やスーダン人というケースが殆どで、要職に就いているローカルが直接会話を交わすことは少ない。

カタール人の友達の家で行われる夕食会などに、友達が仕事で知り合ったと思しき外国人を連れてくることもあるが、日本人が来たケースは今まで一度もない。

私がこの国で暮らしていく中で気をつけているのは、彼らローカルとの関係以上に、彼らの周囲にいる人達のことだ。つまり家庭なら使用人や運転手、職場なら給仕といった立場の人達。接触している時間が長いという意味では、実は彼らこそ最もローカルの近くにいる存在。

彼らとの良好な関係を築けるかどうかが、ローカル社会に身を置こうとする者にとって重要案件。彼らは家にやってくる外国人客との間に利害関係などないため、主人に尋ねられたら率直な感想を言ってしまう。気に食わない客なら、あいつはロクでもないと正直に感じたことをローカルである家の主人に伝えてしまうのだ。

逆に気に入られると、主人が不在の時でもマジリス(客間)へ入れてくれたり、家の奥にいる主人に連絡を取ってくれたりする。もちろん彼らのちょっとした頼み事くらいは快く引き受けてやらなければならない。彼らは英語が話せないので、アラビア語は必須条件だが、文法を無視したなんちゃっての崩れたアラビア語を理解する必要がある。

日本人はとにかくローカルと仲良くなろうとして、そのことばかりに気を取られている。
本当に大切なことはもっと身近にある。

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