施し

タイ深南部の村では、家族の誰かが援助を必要とする事態に出くわすと、隣近所や親類を家に招く。招かれた先では簡素な食事が提供され、参加者は幾ばくかの寄付をする。額は大体200バーツが相場だ。

今日もそんな食事会に誘われたとかで妻と義妹、義父母を乗せて出かけることになった。

今日の招集理由は「息子が交通事故に遭い、手術や入院の費用が要る」というものだった。

会場に入ると男女別に分かれて座る。義父が隣にいるので心強いものの、マレー語がからっきしなので、いつもこういう席では落ち着かない。

今日は幸いサウジ出稼ぎ経験のある年配者が複数いて声を掛けてくれた。やはりアラビア語で話している方が楽だ。

白い髭を蓄えた恰幅の良いおじさんは、タバコに火とつけスパスパと吸いながらサウジにいた頃の話をしたり、私がカタールでどう暮らしているのかを尋ねたり。アラビア語話者には宗教系学問を修めるためにアラブ諸国に渡った人が大半だが、たまにこういうチョイ悪オヤジもいて、何故か気に入られたりするのが毎度のパターン。

食事はカノムチーンという「素麺のような米粉麺に魚のすり身カレーを掛けて」食べる料理。

一杯だけ頂き、帰り際に家の主人か奥さんに寄付を手渡してその場を後にする。

施す方にプレッシャーを与えず、施しを請う側も惨めな思いをせずに済む。村人たちの知恵の一つだ。

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