伝えたいことと、伝えること

最終更新日

時折思い出したように覗いている某海外在住者投稿サイトがあります。

世界中の現地住み日本人が、在住国の文化や社会をテーマに短いエッセイを投稿する、というのがサイトの趣旨。

エリア別に見てみると、やはり欧州が充実しています。北米も結構な人が投稿しているし、東南アジアも少しずつ増えている印象。やはり在留邦人が多いところは書き手も大勢いるのでしょう。そういう意味ではアフリカ大陸が少ないのは仕方がないですかね。

アラブ圏がスカスカなのがちょっと意外。二カ国しかいない。ドバイ辺りには在留邦人が大勢いて、ブログなどもそこそこ見つかるのですが。掲載されている国々でさえ、いずれも最終更新は2ヶ月以上も前。投稿頻度も数カ月おきというケースが殆ど。

この情報量の少なさ。最も大きな理由は「現地文化・社会へのアプローチ機会の少なさ」から来るものではないのかな。特に執筆者が女性の場合は、アラブ圏は社会の表の部分がほぼ男性で占められていることもあって、現地コミュニティへの接触自体が非常に難しいところ。一方で女性には女性の世界があるので、そこへ突っ込むことが出来ればユニークなものが書けるはずですが、そこへ至るには相当な時間と努力が必要になってきます。

男性であっても、積極的に出向いていかなければ得られるものは少ないですね。しかしながらアラブ圏においてアジア系はなんとなく蚊帳の外。更には語学の問題、信仰の違い、そういった要素も絡んで、何かを語ることができるレベルにまで現地人と知り合ったり、人間関係を築いたりするのは至難の業です。

また、長い年月をその国に暮らしているからといって、それだけでは知識と理解が深まるわけではありません。それは1、2年の短い時間でも同じこと。解った気になっているだけで、本当の部分はじっくり時間を掛けて社会と向き合うことでしか見えては来ないのです。

もう一つ、対価の発生しない掲載であっても、大手企業の名を冠したパブリックスペースに、署名形態で書く限りは内容に責任が伴います。個人的な感想を書きなぐっても誰にも怒られない個人ブログとは求められるものが違う。イベント一つ取っても、その歴史や過去の記録を調べた上で書く必要があります。「初めての体験でしたが、面白かったです」だけでは誰も読んではくれないのですから。

福嶋タケシ