コネって、何だろうね。

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 今日は仕事中なのに朝からよく電話が鳴ります。

 一度目はタイに帰省中の妻から。先週こちらから送金したお金が未だ届かないと言う。当地の週末が金曜日と土曜日、あちらは土曜日と日曜日、それぞれ休業日を挟んでのお金のやり取りは、オンラインで電子という実体の無い”お金という名の概念”の行き来であっても、すぐに完了するというわけではないらしい。

 以前にもこんなことがあって、その時もこちらの両替所(日本では馴染みがないが、出稼ぎ労働者の出入りが多い国々では、送金は両替所の役割だ)やら、タイ側の受け取り銀行やらに電話やメールで問い合わせをしまくりました。そして、これまた以前と同じように、すぐさま返事が来ることもなく、急用ですぐお金が必要な妻の声から、どんどん苛立っていくのが判ります。気持ちは承知しているけれど、こればっかりは私のせいじゃないし、私がどうこう出来る話でもないのだけれど。

 二件目の電話は、妻のタイ人友達からでした。シリア人の旦那の滞在ビザの延長のために入国管理局へ来ている、手続きをどうすれば良いのか分からない、誰か職員に知り合いはいないか、と。結論から言ってしまうと「そんな虫の良い話は転がっていない」ということになって、身も蓋もないわけで、さすがに彼女に向かってそんな冷たい言葉を投げつけることもできません。「あいにく知り合いはいなくてね…」と言葉を濁しました。彼女に促されるように電話口に出た旦那は「今、順番待ちなんだ」と、やれやれといった口調。大人しく待っていればいいのに、妻は焦りのあまりになりふり構っていられない様子なのが伝わってきて、あぁまたかという気分になってしまいました。

 そりゃ、組織のトップと顔見知りなら、多少の無理は押し込んでもらえるでしょう。いわゆるコネってやつ。でも、そこまでの関係に至るには時間も労力も半端無く必要になります。困ったときだけ頼ってくるような人間を、ここでは誰も信用しません。まして、友達の友達は”赤の他人”なのです。自分にとって何ら利害関係もないような誰かをいちいち助けていたらキリがない。冷たいようですが、世の中はそういうもの。

 私が今の恵まれた環境にいるのも、元はといえばコネ。けれどね、最初からコネが欲しくてベドウィンたちと付き合っていたわけではないし、相手の家柄なんて考えたこともなかったよ。

 そういえばシリア人旦那を何度かマジリスに連れて行ったけれど、ラマダーン明けてすぐに誘ったら、体調がどうのこうのと言って断ってきました。それ以来こちらから誘いの電話はしていませんが、あちらからも行きたいという意思表示はありません。トラブルを抱えている時だけ顔を出して「何か良い手立てはないだろうか」と言い、それが上手く行かなかったら「時間の無駄だった」と切り捨てるような態度じゃ、いざという時に誰も手を差し伸べてくれなくなるんですよ。

福嶋タケシ