聖地は遠く

投稿者: | 21/07/2019

 正午過ぎ、溜まったゴミを出しにアパートの外へ出た。
 玄関から右へ、道路を渡って戻ってくる、そのたった1分の間で汗だくに。

 連日45度を超える気温は、日が暮れた後でも30度を下回ることはない。
 風の強い日は湿り気を飛ばしてくれるが、そうでない時はジメジメと水分が重くのしかかり、まるでサウナの中にいるかのようだ。
 もっとも、生活時間の大半は屋内で、移動するにもエアコンの効いた車だから、実際暑さを感じる場面というのは少ない。だから、ちょっと外へ出ただけでも体が過剰に反応するのだろうか。

 今年もハッジの季節が始まっている。
 そして断交が続く現状では、予想通りカタールからの”正式な”ハッジ参加は、今年も事実上”不可”となりそうだ。手続き上、クウェートやオマーンでの乗継便を使って、メッカまで辿り着くことは出来る。しかし、ハッジではアコモデーションやロジスティクスの確保が重要だ。カタールからのキャラバンの入国と展開が拒否されている以上、サウジ側が用意した宿泊施設に泊ることになる。食事はもちろんのこと、救急時の対応など、考えうるトラブルを考慮すれば、公式に参加を認めるわけにはいかないのが実情だ。大使館や領事館といったカタールを代表する公的機関が閉鎖されたままなのもリスクを大きくしている。

 断交開始から2年が過ぎ、当初に出された”13の要求”については、もはや覚えている人もいないのではないかと思われるほど風化しているし、サウジアラビアなどで開かれる湾岸諸国関係の会議にカタールから要人が参加したというニュースも良く耳にするようになったが、ハッジの問題だけは未だに解決の糸口が見えないまま。
 断交以前の頃でも、毎年1500人程度しかビザ(正確には、メッカエリア入場許可)が下りず、経済的に問題がなくてもハッジに参加できない人が大勢いた。その上で、更に3回目のハッジ遂行阻止となれば、国民からの不満が蓄積していく一方になる。ハッジは5行の一つではあるものの、条件を満たせない場合は義務とはならない。状況として遂行がほぼ不可な今の状況では信仰上の問題はないのだが、ムスリムの気持ちとしては「行けるものなら行きたい」のが本音。西側の人権関係機関なども話し合いに乗り出してはいるが、自体の打開には程遠い。

 

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