祖国を遠く生きる人たち

投稿者: | 03/11/2019

昨夜、モールから帰宅してノンビリしているところへ着信音。

声の主はアパートメントの管理人。名前はファルーク。管理人といっても要は使用人です。毎日の清掃から水回りの修理やメンテなどもこなす何でも屋。

スリランカから来た彼、歳は30代でしょうか。現在住んでいるアパートメントでは3人目の管理人。最初の二人は1ヶ月ほどでそれぞれ辞めているので、ほぼ初期から働いていることになります。

アパートメントは新築から約3年が経ちますが、ファルークはその間に一度も休暇を取ることがありませんでした。厳密に言えば雇い主であるアパートメントのオーナーが休暇を認めなかったのです。雇用形態としてそれはどうなのかという問題は勿論そうなのですが、本人の意志にかかわらず、彼のように何年も国へ帰らずに働く外国人動労者は珍しくないのが実情。

本人曰く、それまでの仕事も含めると4年以上帰っていないとか。

そんな彼が「オーナーから許可が出た」と嬉しそうに話していたのが先月下旬のこと。帰国の日程が決まったら教えてくれよと私が言ってあったのを覚えていたのでしょう。「明日の夕方の便で帰る」と。

すぐにファルークを部屋まで呼び、私と妻とで少しばかりの餞別を手渡しました。いつも朝早くから住人の車を洗い、アパートメントのあちこちを清掃し、水回りのトラブルで呼び出され、忙しく動きまわっていた彼が、暫くの間とはいえ姿が見えなくなるのは寂しいもの。

そんな働き者のファルークの唯一の難点は、「アラビア語も英語も通じない」ことでした。まともに意思疎通が可能なのは母語であるシンハラ語とヒンディー語だけ。さすがに最近は多少マシになりましたが、シンハラ語でさえ文字の読み書きは殆ど出来ない彼に、アラビア語を期待するのはやや酷かもしれません。

ファルークがいない間、バングラデシュ人が代役を務めることになったようで、今朝出掛けに顔を合わせたのですが……これまたアラビア語も英語も全く分からないときました(苦笑 そんな彼の姿に3年前のファルークが重なります。

いい加減、ヒンディー語も覚えたほうが良いのかもしれないなぁ。そんなことを思いながら、暑さの和らいできた朝に官庁街へと車を走らせたのでした。