約束の再会

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突然の腹痛で深夜に救急搬送されたのは2018年の3月、今からちょうど2年前のこと。急性虫垂炎と診断され、手術のために運び込まれたキューバ病院。そこで私は一人のキューバ人看護師と仲良くなりました。

夫婦でこの病院に働きにきていた彼は、他のキューバ人医師や看護士らと同様に野球が大好きで、ある時「日本の玩具”野球盤”を探しているけれどドーハでは見つけられなかったよ」と。そんなことならお安い御用と、私は退院後に日本から最新の野球盤を取り寄せて、彼にプレゼントしました。

キューバ病院はカタールの西の端、ドーハから80km近く離れた場所にあります。彼は野球盤を受け取るためだけに、大切な休日を使い、わざわざ1時間以上かけてバスに乗ってやってきました。

野球盤を受け取った時の彼の子供のような顔は今でも覚えています。家に帰ってうすぐ箱を開けたようで、「最高だよ!ありがとう!」とメッセージが届きました。

その翌月、任期を終えた彼はキューバへ帰国。彼の国ではネット環境はほぼないに等しいそうで、数ヶ月に一度、ホテルのWiFiが使える時にWhatsappから短い挨拶のメッセージを送ってきました。

リプライを返しても、それに反応が来るのはまた1ヶ月か2ヶ月後のこと。まるで一昔前の文通のようなやり取りに、それでも彼が元気に暮らしていることが分かるだけでホッとしたものです。

今朝、その彼からメッセージが。

「対コロナ特別医療班の一員として数日後にカタールへ向かうことが決まったよ!」

2年前は「この前の帰任者リストに名前がなかったよ…」と寂しそうにしていた彼も、帰国後はカタールが懐かしいようで、何度か「戻りたい」とこぼしていました。

感染症と闘う、それは決して楽な仕事ではありません。それは彼だって承知の上でしょう。でもメッセージにはどこかしら再びカタールへ渡ることができる嬉しさが滲んでいるように思えました。いや、それは私の勝手な願望かもしれませんね。

メッセージは最後に「任務が終わったら、必ず会おう!」と締め括られていました。

何があってもこの状況を生き延びて、必ず彼との再会を喜び合いたい。

そう思ったら、なんだか勇気が出てきました。

福嶋タケシ