ふさわしい服装

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妻と二人で近所の散歩も、あれから毎日続いています。

平日は仕事があるため朝早く出かけることはできませんが、代わりに日が暮れてから出かけるようにしています。夜の道路沿いに佇む車の屋根の上には猫たちの涼む姿が。呼び掛けても目も覚さない猛者もいれば、お腹が空いたのでしょうか、ニャァと呼びかけるのも。そういう時はウェストバッグに忍ばせた餌を少しだけ道端に残して立ち去ります。触ったり撫でたりはしない主義。お互いの距離感を守る、これもまた共生と言えるでしょうか。

ところで、ドーハは最高気温が45度を超える日が続いています。日が暮れると40度を切り始めますが、それでも外を歩くだけで汗が吹き出します。

普段はどこへ出かけるにも民族衣装を着ている私ですが、さすがに運動する時は動きやすいようにTシャツとハーフパンツといった出立になります。

とはいえ、この暑さ。本音を言えばタンクトップに短パンでも良いくらいなのですが、この国ではそのような格好はNG。アラブ圏に”女性は肌の露出を控える”というマナーがあるのを知っている人は多いかと思いますが、女性に限らず男性もそれは同じなのです。

出稼ぎ労働者としては新参者の部類に入るフィリピン人。よく住居の周辺などをタンクトップに短パンという姿で歩いていることがあります。カタール人たちはあれを見て眉を潜めているのです。

近所の小さなグロッサリーやスーパーでは何も言われません。しかし、ショッピングモールとなれば話は別。入り口にも明確に「マナーを守り、この社会と他者を尊重する服装をお願いします」とあります。当然、入店を断られることも。

もちろん彼らがモールへ来る時はTシャツや長ズボンといった服装になります。つまり彼らもタンクトップや短パンが”この国では表に出る際には不適切”な格好であることは解っているのです。それでも、アパートの周辺なら大丈夫だろうと思っているのでしょうね。外国に住んでいきなりそれまでの習慣を変えろと言われても難しいのは当然としても、その社会で明らかに”ネガティブ”に捉えられるような言動はやはり慎むべきです。

もう一つ彼らが勘違いしている服装にガラべーヤがあります。これは主に北アフリカなどで一般的な部屋着の一種ですが、エジプトでは普段着として外出でも着用されているようです。しかしながら、カタールではこれは文字通り”部屋着”です。つまり家の外で着るには相応しくない格好だということ。

イスラームに改宗したフィリピン人などが、民族衣装と同じものだと思っているのか、ガラべーヤを着て外を出歩いたり、パブリックな場に出かけたりしているのを時折目にします。万が一その格好でカタール人に会ったら、相手は非常に嫌な顔をすることでしょう。

国が変われば衣装の意味合いも変わることがあります。注意したいものですね。

福嶋タケシ