アラブの名前

最終更新日

”Abu ○○(アブー○○)” 、”Umm ○○(ウンム○○)”

これはそれぞれ「○○のお父さん」、「○○のお母さん」という意味のアラビア語で、大人のアラブ人同士が呼び合う時に使われるものです。○○に入るのは長男・長女とは限りません。このような呼び名をクニヤと言います。

また子供がいない相手にもクニヤで呼びかけることがあります。例えばムハンマドという男性に対して「アブー・ジャーシム」、イブラーヒームには「アブー・ハリール」といった感じでパターンがあるようです。

更に相手の立場の上下などに関係なく、クニヤでの呼びかけは行われます。筆者の職場でも給仕から上は大臣に至るまで、あるいは年齢も関係ありません。さすがに名前を呼び捨ては非礼、さりとて毎度のように「大臣閣下」では仰々しい。そこへもってきてクニヤは非常に塩梅が良いのです。日本では「○○さん」という丁寧が呼び方がありますが、感覚としてはそれに近いかもしれません。

ところでアラブ人の名前ってやたら長いと思ったことはありませんか?一般的には「本人の名前・父親の名前・祖父の名前」と並んでいます。湾岸諸国では更に「支族の名前・本部族の名前」と続くことが多いですね。王族ともなれば名前の前には必ず「الشيخ(シェイフ)」を付けなくてはいけませんし、大臣など役職に就いている場合は「سعادة الوزير (大臣閣下)」や「 صاحب السمو (殿下、首長にのみ使用する)」などを付けますので、新聞など公式メディアでは記事の大半を名前に関する単語が占有しているなんてこともよくある話。

そんな偉い人たち相手でも人々が呼びかける時はクニヤでも問題はありません。もちろん、誰でも……とは限りませんけれど。

ちなみに、子供に呼びかける時は名前を少し変化させます。「ムハンマド」なら「ハンムード」、「アリー」なら「アリヤーン」とか「アッロイ」といった感じで、日本語風にするなら「ムハンマドちゃん」とか「アリーちゃん」ですね。中学生くらいになると、こういった呼び方をされるのを嫌うようになります。いわく「僕はもうガキじゃない!」ってところでしょうか。

私にはムハンマドというムスリム名がありますが、カタール人から名前を聞かれた時はタケシという本名を答えています。彼らにとっても発音が簡単で、かつ昔「風雲たけし城」が放映されていたことから、「タケシ」の知名度が抜群に良いというのも理由。何より親がくれた大切な名前です。それに名前を変えたからといってアラブ人になれるわけでもないですしね。

福嶋タケシ