床屋、コロナ、スマートフォン

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昨夜は妻をハイパーマーケットまで送ってから商店街へ。

いつもは土曜日の朝から行くのがパターンなのですが、どうにも面倒臭い気分になることが多く、先週に引き続き週半ばの水曜日に足を運びました。たまたま買い出しの場所が床屋と同じ方角だったこともありますが。

平日の夜ということもあってか商店街に賑わいはなく、床屋も店内はガラガラで、相変わらず暇を持て余した店員たちがスマホで誰かとおしゃべりに夢中。

入ってすぐ椅子に腰掛け、いつものネパール人店員に髭のトリミングを頼みます。

手際良く準備をしながら店員が聞きます。「12月に入ったら、またコロナが増えるって本当なの?」

読み書きが苦手な彼らにとってスマホが唯一の情報源。動画配信される故郷のニュースや、べらぼーに高い国際通話料金を気にせずにお互い顔を見ながら話せるアプリの存在は、本当に革命的なもの。自分自身、ネット黎明期に留学した身として、20年後のこの世界はまさしく未来感に溢れています。

彼もまたそうしたアプリでコロナのニュースを聞いたのでしょう。

確かに12月に入り気温が下がると、ウィルスが再び猛威を振るうかもしれないと言われています。とはいえ現状でカタールの日々の感染者数は200人前後。そのうち3割程度が国外から戻ってきた長期滞在許可保有者。近々、新規の労働ビザ申請受付が再開される予定ですが、それを加味しても心配するほどの激増はないのでは。

少なくとも観光客受け入れを再開した周辺諸国が第二波、第三波かつ第一派を凌ぐ感染者数を出す中で、8月後半以降減少し続け、現在は陽性率2%前後に抑えられているカタールは優等生といっても過言ではありません。

「それより、ネパールは大丈夫なの?ご両親は?」

店員は「心配だけど、家族はみんな元気にしてるよ」と言い、ハサミとクシを手にしました。

いつも顎髭は二本の指で挟んではみ出るくらいの長さに揃えてもらいます。口髭はバリカンの2番で。頬の部分は綺麗なカーブを作るように剃刀を入れていきます。

「顎髭の量が増えたから、軽くすいとくね」

そう言って器用にクシと剃刀を使いながら整えてくれました。おかげで少しぼってりしていた顎周りがスッキリ。

店員が近くのカフェテリアで買ってきてくれたカラクを飲み干し、店を後にします。

毎日いくら稼げているのか心配になる程に客の姿が見えない商店街。それでも、彼らはそこで働き続けます。小さな画面の向こうに故郷を眺めながら、自分の夢ではなく家族の暮らしのために。