話を盛る人たち

メディアで有名な評論家?が「自分は特別な許可を得てサウジアラビアに2度入国した」などと言っていたらしい。

はて?サウジアラビア自体に入国するのは、ムスリムでなくともビジネスビザを取得すれば誰でも可能なはずでは?

中東やアラブ、特に湾岸アラブ諸国に絡んでくるような人たちは、どうも彼のように「自分だけは特別」というアピールをするのに必死だ。曰く「現地では地位の高いローカルとしか付き合いがない」だの「普通の人は入れない場所に入れてもらえる」だの。話を盛りまくる、そういう人に限って口八丁手八丁で、具体的に何をしているのか、何か成し得た人なのかサッパリ分からないことが多い。

湾岸諸国では一部のフリーゾーンを除けば、外資系企業が現地法人を立ち上げたり、個人が店を出したりするのには、現地ローカルのパートナーが必須になる。つまり現地ローカルとの共同出資でなければ登記自体ができない仕組み。また現地ローカルがオーナーの企業が外国企業と提携する場合でも、基本的にはBtoBでのやりとりなのだが、外国企業側は湾岸諸国でのビジネス経験に関して浅いことが多く、そこを突く格好で「コンサルタント」が暗躍している。

現地企業が最終的に結ぶのは相手企業との直接契約のみ。つまりコンサルタントを通じて商品やサービスのやりとりをすることは一切ない。そこで彼らは仲介役を申し出ることで、双方から「コンサルタント料」という名目で利益を得る。具体的には外国企業に現地企業を紹介するのが基本的パターンだが、その際に「企業オーナーの王族と知り合い」だといったような話を持ちかける。殆どの場合それは嘘だ。そもそもオーナーであるローカル(王族に限らず)は直接ビジネスには携わらない。彼らは名前を貸すだけで、実際の業務はスーダン人やパレスチナ人などアラブ系外国人をGMなどに据えて、彼らに丸投げしているのが実情だ。

だから、仮に彼らの言う「王族との繋がり」が実際にあったとしても、現場を仕切るのはその下で働くアラブ系であるため、彼らとの交渉が出来なければビジネス自体が成り立たない。コネでことが進むほどビジネスは甘くはない。

意識

メッカにいる職員から時折Whatsappにメッセージが飛んでくる。
やれ、あれが要るだの、こうして欲しいだの。
全部現地でなんとでもできるようなことばかり。どうしてうちの部署は甘ったればかりなんだろうか。厳しく言うとふてくされるから、少しだけオブラートに包みつつ、そっちでできることはそっちでやってくれよという気持ちを含んで投げ返す。

それなりの手当を貰うという前提でそこに行ったのだから、困難は自分たちで解決してやろうという意識はないのだろうか。ないんだろうな。だから平気で居残り組の私にそんなメッセージやメールを寄越してくるのだろう。

日本が取り立てて勤勉だとは思わないし、今やアジア各国の方が活気づいているくらいだから、そんなことを言ってみても実際とは程遠いのかもしれないが、それでもやはり「だからアラブはいつまで経っても…」と愚痴りたくもなる。

巡礼シーズンの始まり

今年のハッジ。カタルからは1200名(カタル人900名、在住外国人300名)で最終決定されたとのニュース。例年同様に発給ビザの追加を要請していたが、サウジ側からは回答は得られなかったようだ。

そして、巡礼者の世話をするツアー会社(キャラバン)も過去最低の10社。カタル全体で36社あるが、その全てに割り振ったらどこもペイできないための措置だが、それでも昨年は14社が参加を認められていた。今年は石油価格下落による経済状況の低迷もあって、参加を断念したところが増えたのだろう。

” لا زيادة في حصة حجاجنا .. و10 حملات للتسيير ”

http://www.raya.com/news/pages/13d1c24c-1df1-4ea3-94e2-e3f208ba083d

それに加えて、年々上がっていくハッジ費用。今年は空路利用のツアー価格がとうとう20000リヤルを超えた。
また来年からは「ハッジ、ウムラともに2回目以降の参加についてはビザ代として2000リヤル(約6万円)を徴収する」ことがサウジ政府から発表された。これについては、近隣諸国や富裕層による機会独占を避けるというメリットに期待したい。

季節は巡る

あれよあれよという間に1年が過ぎ、もうハッジ(大巡礼)の声が聴こえる時期になった。
既に今月4日にはバングラデシュからの一行がメッカに一番乗りしている。

カタルもハッジに向けた準備が始まったが、その作業については平年同様に遅々として進んでいない。ビザの申請に関してはサウジ側に委ねられていることもあるが、それを踏まえても相変わらずマイペース。もちろん、裏では足りない時間に汗をかきながら作業をさせられる職員がいるわけだが。

私自身は去年同様に本隊への参加は見送った。元より、去年辞退した時点でこの仕事からは引退を決めているので、予定通りではあるが。

昨日は部長から慰留されたものの、現状の顔ぶれなら行くつもりはさらさらない。
毎年同じようなトラブルに同じような解決策。いつまで経っても進歩のない連中と一緒に仕事をするのはもう疲れたというのが本音だ。

聖地の意味

サウジ、観光ビザ導入-非イスラム教徒も視野に
(The Wall Street Journal)

サウジが観光ビザの本格導入に踏み切ろうとしている。
これに関して、NewsPicks上では「メッカやメディナにも入れるようにして欲しい」というコメントが散見された。

正直な所、非ムスリムが聖地であるメッカとメディナに足を踏み入れることには賛成できない。それは多分に感情的な理由であるが、実際問題としても混雑を更に助長するだけで、イスラームの理解云々には何ら寄与しないと考えるからである。

そもそも、ハッジ(大巡礼)は近年行きたくても行けないムスリムが増えている。それは受け入れ体制から考慮された収容人数を元にしたビザ発給制限によるものと、もうひとつは年々高騰するハッジ費用によるものだ。特にアジア諸国など物理的に距離がある地域に住むムスリムにとって、この二つはハッジにおける最大の障害となっている。

二年前に妻の祖母がハッジに行った。その際に、地元ツアー会社には無理を言って職員枠のビザを分けてもらい、費用面では職場などで工面に奔走した。それだけやって、祖母は90歳にして初めてメッカの地を踏んだのだ。彼女のような例は一人や二人ではない。そんな状況において、非ムスリムがお金を払うだけでメッカに入れるとなったら、当然様々なところから不満が吹き出すことは想像に難くない。サウジアラビアとしてもその辺は解っているハズで、恐らくメッカとメディナへの非ムスリムの入場は認めないだろう。ただし、観光ビザに依る立ち入りエリアを拡大していく中で、メッカやメディナに入ろうと試みる非ムスリムは必ず現れる。その際にどういったトラブルを招くか、そのトラブルがどのように拡大解釈されて問題を引き起こすのかは未知数だ。

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